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行ってきました researchlight『河童と、ふたたび』関連トーク

kappatofutatabi

先日、「つくる人々」でご紹介したresearchlight『河童と、ふたたび』。
▶︎ http://classroom-mag.com/things/researchlight01
発表者である原田祐馬さん(UMA / design farm)と家成俊勝さん(dot architects)による、ゲストを迎えての関連トークが10月22日に行われたので聞いてきました。

今回の作品は、記事でもご紹介していた通り、自然から都市を見直していく視点でつくられています。テーマは、言葉を持たざるものたちとの「対話」。半透明のパイプで迷路のように構成された作品の内部に入ると、区切られたスペースに海や山、宇宙などが表現されています。
トークのゲストは宇宙物理学者の磯部洋明さんと、山伏として山形県を拠点に活動されている坂本大三郎さん。山や宇宙と対話を続けているお二人です。

1. テーマトーク
まずは、お一人ずつのテーマトークから。

■磯部 洋明先生
太陽の研究が専門という磯部さん。太陽の黒点で起こる爆発現象「太陽フレア」を中心に、人間と宇宙の関わりについてお話されていました。
太陽フレアは大量の放射線を発する恐ろしい現象ですが、同時に北極・南極で起こる美しいオーロラの要因でもあります。過去にどれほど大きな太陽フレアが起こったか探るために、歴史や古典の研究者と協力して世界中の古文書も参照しているのだそうです。

■坂本 大三郎さん
ものづくりへの興味から、山伏の道に踏み込んだという坂本さん。山伏は歴史的にものづくりや芸術、芸能にとても深い関わりを持っているのだそうです。拠点を置いている山形県の山では、「こもり行」という元来は成人儀礼に関わりがあるとても古い形の修行が行われているとのこと。普段は原稿や絵を描いたり、アート作品を製作するなど、昔からの山伏と同じく「半聖半俗」の暮らしをしているそうです。

2. テーマトーク「星、聖、性、生成」
後半は、4人でのテーマトークでした。興味深かったポイントを抜粋してご紹介します。

■山が送ってくれるサイン
「山が送ってくれるサインを感じることはありますか?」という質問に対して、坂本さんはイタヤカエデという木の樹液集めについてお話をされていました。メイプルシロップの原料になるそうですが、樹液を出すのは1年にわずか2週間程度とのこと。
「何年か続けているうちに『今日、出るな』っていうのがわかるようになってきました。調べれば樹液が出やすい条件っていうのは出てくるんですけど、同じ条件でも木によって差があって。自分が思った通りにたくさん採れたときは、『会話できたな』っていう気がします」。
この話に対して磯部さんは、「我々は目で情報を捉えて脳で処理しているだけでなく、体全体で見ているんですよね。言語化できるようなことだけじゃなくて、全身で感じているようなところから何かがわかっているのかな」とうなずいていらっしゃいました。

■異世界があることを知らせてくれる存在
会場から坂本さんに「現代社会で、山伏はどのように頼られているのでしょうか?」という質問がありました。
これに対して坂本さんは、「山伏自体はお祓いなどで頼られることもありますが、僕自身はしないので、山伏としては一切社会に貢献していないですね」と断言。「今の時代は宗教とか信仰っていうものが力を失っていて、ほとんど解体されているようなものだと思っているんですね。昔は山伏の言葉にももっと説得力があったと思うんですけど」。
これに対して磯部さん曰く、「太陽フレアの研究はもともと役に立つと思ってやったわけじゃなくて、単に宇宙が知りたくてしていたんです。ただ世界がどうなっているか知ろうとする営みそのもの、知ることそのものに意義を見出し得るような人生であり社会であってほしいなと思う」とのこと。
そして山や宇宙について、「異世界があるということを知らせてくれる存在って大事だなと思います。今生きているこの世界だけが自分たちの生きている社会じゃないんだよっていう。もしそれしかなかったらすごく息苦しいんだけど、どこかに違う世界があるっていうのを知るのはやっぱりとても大事なことじゃないかな」とおっしゃっていたのがとても印象的でした。

3. まとめ
最後は家成さんと原田さんからのまとめの言葉をご紹介します。
家成さん「今目の前にある世界がすべてじゃなくて、ほかの世界がつねに僕たちのまわりにあるんだということをより感じたいし、感じられるような体を作っていきたい。そういう世界があることによって、僕たちの暮らしがもうちょっと楽になるような気がします」。
原田さん「理解できることが増えていく反面、忘れちゃいけないことをどんどん忘れているなということを感じていて。情報が入ってきたときに自分たちがどう対応したらいいのかがわかるようにするには、想像力や理解しようとする自分のポテンシャルみたいなものを鍛えておかないといけないと思います。今回は、昔のことも今のことも行き来しながら考えていかないといけないということを実感しました」。

-Haruka-

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