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Column / 惑生探査記

そこら辺の春の息吹を血肉にする方法 3

そこら辺の春の息吹を血肉にする方法 3

天気が良くて心に余裕のある休日ならよもぎを摘む。裏の白い柔らかい葉を触って指先を嗅げばにおいでよもぎだとわかる。先端の見るからに勢いのこもった部分を両手分くらい摘む。よもぎと言えばやはり餅。洗って3分くらい茹で15分水にさらし、それを絞って刻んでボウルに移し白玉粉を入れて練る。目で加減しながら生地がまとまるくらいの水を足す。こねて渋い緑色の生地ができたらちぎって丸めて茹で、浮かんできたら水に取る。ここまで団子に手をかけたのだからあとは手を抜いて、予め買っておいた井村屋のゆであずき缶を開け、好きなだけかければいい。
もうひとつはミント。探せば案外身近に群生地を発見できる。うちの周囲にも歩いて行ける距離に3カ所ある。ミントは品種が多く野放しにすると雑交する。同じシソ科だからって青じそなんかの傍に植えると平気で混ざってしまう。その辺に自生しているのが純粋なペパーミントなのかスペアミントなのかわからない。空き地などでよく見るのは葉の表面に細かな毛の生えたアップルミントの特徴を継いでいるもので、ハッカのなかにりんごの甘さが嗅ぎとれる。ミントはたくさん葉を摘んでも半月後くらいには脇芽が育ってくるので、しばらく経つとまた摘める。
摘んだミントはシロップにする。一度湯通しして青臭さを抜き、葉が浸るくらいのお湯を静かに沸騰させ2分ほど火にかけて10分蒸らす。葉を漉してお湯の重さを量り、同量の砂糖を溶かして最後にレモン汁を加える。これを炭酸で割って飲むとおいしい。ミント以外のレモングラス、ローズヒップなどのドライハーブがあればそれを一緒に煮出してもいい。抽出後の葉は台所のゴミ受けネットなどに入れて湯船に放り込めばハーブ湯に。

嵯峨実果子
1983年京都生まれ。詩人、文筆家。 「ミことば」で平成27年度第33回 世田谷文学賞 詩部門受賞。趣味は芳香植物の栽培と観察。 mikakosaga.tumblr.com

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