寄稿 寄稿

Column/ 惑生探査記

心配

shinpai

ついた目鼻を
取り外して一度

初心に帰ろうとしたけれど
そうすると今度は

心を見失ってしまいました

電気ショックを与えて

心の行方を探すけれど

心室の扉を叩いても

返事はなく
押しても引いても

心ここにあらず

動悸の動機に探りを入れたところで

有益な情報は得られるはずもなく

捜索も詮索もすればするほど

心音は遠退いて

長年連れ添った肺も
心を失っては

心許ないのでした

嵯峨実果子
1983年京都生まれ。詩人、文筆家。 「ミことば」で平成27年度第33回 世田谷文学賞 詩部門受賞。趣味は芳香植物の栽培と観察。 mikakosaga.tumblr.com

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