Column/ 惑生探査記
呼吸
堰を切ったように
積年の
赤裸々が
腫れ上がり
本日は
晴天なり
おお
サンショウウオの
表面を旅し
荼毘にふしても
焼けのこる
生やけの
どっちつかずな手足が逆に
なまめかしいね
仮死の
歌をうたって
飢餓の
都に雨を呼び
したたかしたたか
雨降って固まった
地を割る草の
したたか酸素
肺呼吸皮膚呼吸
生活に取り入れて
積極的に
したたる血
十全に
巡らせよ
- 嵯峨実果子
- 1983年京都生まれ。詩人、文筆家。 「ミことば」で平成27年度第33回 世田谷文学賞 詩部門受賞。趣味は芳香植物の栽培と観察。 mikakosaga.tumblr.com