寄稿 寄稿

Column/ 惑生探査記

金曜日

kinyoubi
輪郭をうるませて
硬度を手放す鉱物の
恍惚に乗じて
にじんだ指紋をかき混ぜる
認証できない指先で
誰でもないひとに触れ
不定形な肌の合間
足をとられているうちに
水晶体がこぼれ落ち
同時に世界は散乱し
魚眼や魚卵のつぶつぶに反射する
洗濯日和が
キレイキレイ
剥がれた雲母きらら
溺れた水母の漂う午後3時
割った膝と皿の余韻に
見上げればうろこ雲の
宙を泳いでいるまなこ
波打ち際の半透明は
そのうちに息絶えて
満ち潮がさらう
ちょうど明日は燃えるゴミの日
滞りのない金曜日

嵯峨実果子
1983年京都生まれ。詩人、文筆家。 「ミことば」で平成27年度第33回 世田谷文学賞 詩部門受賞。趣味は芳香植物の栽培と観察。 mikakosaga.tumblr.com

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