Column/ 惑生探査記
秋の夕食
あら炊きの
骨からほどける
身をはこぶ
箸の先端
ふるえるゼラチン
煮こごる夜に
空耳の
月光ソナタ
あかあかや
身を乗り出して
骨からこぼれた
我が身のゆくえ
私も知らない
白く濁った
目の玉すする
塗りの汁椀
あかあかや
- 嵯峨実果子
- 1983年京都生まれ。詩人、文筆家。 「ミことば」で平成27年度第33回 世田谷文学賞 詩部門受賞。趣味は芳香植物の栽培と観察。 mikakosaga.tumblr.com